ゲロードの思い出

更新日:5月7日


昔住んでいた家の近くにゲロードがあった。 ゲロード、といってもただの道だ。 ただ、大なり小なり酒を飲んだ後にその道を歩くとどういう訳だかゲロを吐いてしまう。 ゲロを吐いてしまうからゲロード。 イギリスのセビロードみたいなものだ。 なぜその道がゲロードになったのか? 昔、大酒を飲んでその道を豪快に汚した経験が関係しているのだろう。以来そこを通るとパブロフの犬のように身体が勝手に反応するようになってしまった。 酒をたらふく飲んでもゲロードを迂回すれば何事も起こらないのに、あそこを通ればビール一杯でもゲロを吐いてしまうのは、さすがゲロードの面目躍如といったところだろう。 幸いなことに現在の住まいの近くにはゲロードはない。 それが寂しくもあり、たまには旧宅の近くをうろつき、ゲロを吐くようにしている。 同じ時代の男たちは皆「社会の閉塞」と闘っているが、僕はつねにゲロの逆流による「気道の閉塞」と闘っているのだ。 ビルの狭間、エントランス右の植え込み、路地裏の猫道。 あなたもぜひ、家の近くに自分だけのゲロードを作ってみてはいかがだろうか? それはきっと、人生を豊かにすることに違いない。

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